カナダ・リッチモンドでのCALIFORNIA号の制作をほぼ終え、そして予約していたメキシコ行きのフライトの日が来てしまったがため、強制的にメキシコ・グアナファトへ移動することになりました。できればデータ入稿まで済ませておきたかったのだけれど、スケジュールが押しに押し、翻訳のオーダーをロスへ送ったところでタイムオーバー。がっちりと後ろ髪を引かれながら飛行場に向かいます。余談ですが、今回翻訳をお願いしたのはアメリカ・ネバダで開催されたバーニングマン2013の最終日に偶然出会ったデイビッド・ネプチューン氏。バーニングマン最終日、自転車に乗って友達を捜していると話しかけてきた彼は、100%アメリカ人なんだけど日本育ち。つまり英語も日本語もネイティブの言葉として理解し話すことができるのだ。砂漠では少し話しただけだったけど、ロサンゼルスでCMやPVをフリーで作っているという彼との話は弾み、いつかまた!…
Read MoreStudio Visit: Blair Saxon-Hill
ポートランド・ノースイースト、紅葉を控えた美しい並木道にカフェやショップが立ち並ぶアルバータ・アートディストリクト。ダウンタウンと比べ家賃が安く、かつては多くのアーティストやクリエイターが居住地に選んだ地域ということもあり、感性を刺激するような書店やギャラリーが目につきます。毎月最終週木曜日には“Last Thursday”というアートイベントも開催されていて、近年再開発が進むに連れ人気が高まっているエリアです。この日は奮発してタイ料理レストランで昼食をとった後、アートブックや地元アーティストによる作品を取り扱う小さな書店、Monograph Bookwerksを訪ねました。共同オーナーのブレア・サクソン・ヒルとジョン・ブロディはアーティストとして活動しながら、アート・デザイン書籍や作品キュレーションを通じて地域への文化的な貢献を目的としてこの書店を始めたのだそうです。半地下になった店内に…
Read MoreStudio Visit: Stephanie Simek
ギャリー・ロビンスの取材のため訪れていたイェール・ユニオンで写真撮影をしていると、一瞬まわりの雰囲気がふわっと軽くなったような気がしました。明るい笑い声に振り返るとたまたま遊びに来たというアーティストのステファニー・スィミックがここで働く人たちに囲まれてにぎやかに話をしています。イェィール・ユニオンのオーナー、カーティスに紹介された僕は、彼女がどんな表現をしているのかと聞いてみると、サボテンに電流を流してラジオをつくるだとか、微生物を育ててネオンランプをつくるだとか、興味を持たずにはいれない幾つかのプロジェクトを説明してくれました。だけどそうした作品への好奇心以上に、僕は彼女の大きな目とつられてにやけてしまうような、パァっとした笑顔に惹かれ、後日彼女のスタジオで再会する約束をしました。数日後、10月半ばだというのに初夏のような日差しに汗を流しながら教えてもらった住所に辿り着くと、そこは大型…
Read MoreStudio Visit: Midori Hirose
「最近引っ越したばかりで片付いてないけど、それでも良ければぜひ」気持ち良く自宅兼スタジオに招待してくれたのは、ポートランド・ノースイーストに住むアーティスト、ミドリ・ヒロセ。5人のアーティストとミュージシャンが共同で生活するシェアハウスは、ガラスに覆われたサンルームから西日が低く差し込んでいて、出してくれたコーヒーや流れるレコードの音を余計に味わい深く感じさせる。ポートランドで生まれ育った彼女の名前は、日本で暮らす祖母から付けてもらったものだと言う。ダウンタウンや住宅街を歩いていてふと感じるのが、オークやイチョウ、白樺をはじめ様々な種類の街路樹が落とす木漏れ日の気持ち良さ。自然豊かなポートランドで耳にするミドリという名前は聞き慣れているがゆえに真新しい響きに思えます。絵の具やカンバスはもちろん、砂や木に粘土、芝生やフェイクファーなど、ミドリが作品づくりに選ぶ媒体は幅広い。下手をするとあちこ…
Read MoreStudio Visit: Gary Robbins
鍵の調子が悪いとほろ苦い表情で建物に招き入れてくれたのが、ここイェール・ユニオンの地下スペースでパブリケーションカンパニー、Container Corps(コンテイナー・コープス)を運営するギャリー・ロビンスです。ニューヨークのパーソンズ・デザインスクールでコミュニケーションデザインと建築デザインを学び、グラフィックデザイナー・アートディレクターとして、いくつかのデザイン会社や出版社でキャリアを積み2003年に独立。ブックデザインを中心に多くのクライアントと仕事をしながらも、個人的なプロジェクトとしてアート関連の出版物を専門に制作するコンテイナー・コープスを立ち上げました。 「単に図録を制作するんじゃなくて、アーティストにとってアートブックそのものが作品、あるいはプロジェクトになるようなプライマリーソースづくりをしたい」とギャリーは言います。実際に作られたアートブックを見せてもらうと、既存…
Read Morescenes went by : South East, Portland
Studio Visit: Yale Union
ある日、僕らが滞在するポートランド・サウスイースト地区を散歩していると一風変わった空間が目に入った。まるまる1ブロックが金網で囲われた広大な空き地。そこは一面が芝生で覆われていて、柵の中には一羽の鶏と数頭の羊が放し飼いになっています。何度か足を運んでいるうちに、お昼前から夕方頃までの数時間だけ、金網に取り付けられた簡易的な扉が開放されることがわかりました。夕方になると近所に住んでいるのであろう家族連れやカップルがやたらと愛嬌のある動物たちとの時間を過ごしていて、時計が壊れたようにスローな気分になってちょっとだけ不安になります。 今回訪ねたのはその空き地を見守るようにそびえ建つ建物、Yale Union(イェール・ユニオン)。この風格ある建物は、大規模な洗濯業務会社イェールランドリーによって1908年に建設され、その後合併や売却を経て1950年まで使用されていました。最盛期には125名もの女…
Read MoreStudio Visit: Miranda Lehman
あんなに暑かったロサンゼルスでの日々が嘘のように、ポートランドは連日の雨と肌寒い日が続いています。僕らが新たな生活を始めた場所は、ダウンタウンから川を渡ってすぐのサウスイーストという地域。いつものようにAir bnbを使いダウンタウンからできるだけ近く、女性のホストという条件でようやく見つけた一番安いアパートです。ある日散歩がてら雑貨店やアパレルショップが並ぶバーンサイドストリートを歩いていた時、定休日だったショップHAUNTの窓に貼られていた一枚のポストカードがパッと目に入った。外から両面が見えるように2枚貼られていて、表面にはブーケを手にベッドに座る女性の写真、裏面にはミランダ・レーマンと名前が印刷されている。僕はなんだかその写真が気になって、部屋に戻るなり彼女のウェブサイトにアクセスしました。そこには生々しいストロボ、バスタブに浸かる長い黒髪、傷、血、性行為のイメージが荒い粒子となっ…
Read MoreMoving to Portland
1週間の長い長いロードトリップから、ロサンゼルスのキャンピングカーに戻ってきたのは20時をまわった頃。Big Surを早朝に発ち、3時間かけてサンフランシスコへ北上。預けていたフィルムを受け取り、軽い昼食の後ロサンゼルスまで南下するという10時間にも及ぶロングドライブ。無事に着いた安心感と脱力感でキャンプ生活の続いていた僕らはしばらく久々の我が家の小さなソファから動けませんでした。明日は朝5時にはここを出発しレンタカーを返却。8時の便でポートランドまでフライトというスケジュール。僕らはどちらともなく重い腰をあげ、なんとか夜中までかかって荷物をまとめました。バーニングマンやロードトリップに使った思い出のキャンプ用品などは箱に詰め、“For Free”と書いた紙を貼付け歩道に置くと、何とも言いがたい寂しさを感じます。明日の身支度を整えキャンピングカーでの短い最後の夜を、今や慣れ親しんだ小さなベ…
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