鍵の調子が悪いとほろ苦い表情で建物に招き入れてくれたのが、ここイェール・ユニオンの地下スペースでパブリケーションカンパニー、Container Corps(コンテイナー・コープス)を運営するギャリー・ロビンスです。ニューヨークのパーソンズ・デザインスクールでコミュニケーションデザインと建築デザインを学び、グラフィックデザイナー・アートディレクターとして、いくつかのデザイン会社や出版社でキャリアを積み2003年に独立。ブックデザインを中心に多くのクライアントと仕事をしながらも、個人的なプロジェクトとしてアート関連の出版物を専門に制作するコンテイナー・コープスを立ち上げました。
「単に図録を制作するんじゃなくて、アーティストにとってアートブックそのものが作品、あるいはプロジェクトになるようなプライマリーソースづくりをしたい」とギャリーは言います。実際に作られたアートブックを見せてもらうと、既存の本づくりを根底から覆すようなアイデアに溢れています。アーティストとゼロからアイデアを共有しながら制作されるというアートブックは、リサーチ〜コンセプト立案、デザインにおけるタイポグラフィやレイアウト、印刷・製本における紙はもちろんのこと、糸や糊にいたる細部までアーティストへの理解をもとに紡いでいくと言うギャリーの妥協ない信念がうかがえます。流通からエキシビション開催まで請け負うコンテイナー・コープスのアートブックづくりは、アーティストが自身の表現を咀嚼し、世の中と交信するためのプラットフォームとしても機能しているようです。
Gary Robbins/ Container Corps
http://containercorps.com
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