今日はコルシカ島での最後の日。朝起きると部屋の窓から真っ赤な空が見えて、顔も洗わず急いで階段を駆け下りた。カメラのスイッチを入れてテラスに出ると、ぶわっと涙が出てしまいそうな空の色。色だけじゃない。その雲の形やマキナシオの港から見える地中海、遠くに見えるイタリアの小島。すべてが完璧に調和していて、ただただ幸せな気分になった。オーテンスとマシューがダイビングに向かったあと、明日からのイタリア旅程をアレンジしていたらデューンがこれから作品づくりのために外出するというので、ついていくことにした。fotograficasaから少し下ったところから小さな小道が別れていて数百メートル行ったところに、朽ちた教会がある。まるで映画のセット、ジブリの世界観を思わせる、ところどころ苔の生えたボロボロの教会。その付近にある雑木林で、デューンはパリから用意してきたという、森林の描かれた絵画をポスターサイズくらいにプリントした紙を、木と木の間にテープで固定しだした。枯れ枝や葉やツタを使って自然に溶け込ませ、時々愛機のマミヤ7のファインダーをのぞいては微調整。いつもはひとつのイメージに3〜4カットしか撮らないという彼女はこのカットで2ロール使った。こんなことはめずらしいの。となにか言い訳でもするようなはにかむ彼女を見て、自分がこの場にいることで、彼女の創作に影響してしまったのでは…と少し心配になった。
Dune Varela http://dunevarela.com
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