カンバスに描いたような大胆な曲線、両生類の鱗を想起させる鮮やかなグラデーションが美しいモザイク装飾。オーガニック・アーキテクチャーの第一人者として、長年に渡って革新的な建築作品を発表し続けるハヴィエル・セノシアインはメキシコを代表する建築家の一人。その奔放な芸術性、壮大なスケールと緻密なディテールに胸の高鳴りを抑えきれず、この建築家が秘めたる“熱”に触れたいと思った。数週間に及ぶやり取りの末、アポイントを取るに至った僕らは、興奮と緊張で寝不足のままメキシコシティ郊外にあるハヴィエル氏のオフィスへとタクシーを走らせた。 翌日の朝、僕らは再びセノシアイン氏のオフィスを訪ねた。建築士・構造技術者のエンドリケ、建築模型士のマリルーが運転する車に同乗し、メキシコシティ北西に位置する都市ナウカルパンへ向かった。初期のオーガニック建築作品をいよいよ見学させてもらえることになったのだ。 1985年竣工の…
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