鍵の調子が悪いとほろ苦い表情で建物に招き入れてくれたのが、ここイェール・ユニオンの地下スペースでパブリケーションカンパニー、Container Corps(コンテイナー・コープス)を運営するギャリー・ロビンスです。ニューヨークのパーソンズ・デザインスクールでコミュニケーションデザインと建築デザインを学び、グラフィックデザイナー・アートディレクターとして、いくつかのデザイン会社や出版社でキャリアを積み2003年に独立。ブックデザインを中心に多くのクライアントと仕事をしながらも、個人的なプロジェクトとしてアート関連の出版物を専門に制作するコンテイナー・コープスを立ち上げました。 「単に図録を制作するんじゃなくて、アーティストにとってアートブックそのものが作品、あるいはプロジェクトになるようなプライマリーソースづくりをしたい」とギャリーは言います。実際に作られたアートブックを見せてもらうと、既存…
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ある日、僕らが滞在するポートランド・サウスイースト地区を散歩していると一風変わった空間が目に入った。まるまる1ブロックが金網で囲われた広大な空き地。そこは一面が芝生で覆われていて、柵の中には一羽の鶏と数頭の羊が放し飼いになっています。何度か足を運んでいるうちに、お昼前から夕方頃までの数時間だけ、金網に取り付けられた簡易的な扉が開放されることがわかりました。夕方になると近所に住んでいるのであろう家族連れやカップルがやたらと愛嬌のある動物たちとの時間を過ごしていて、時計が壊れたようにスローな気分になってちょっとだけ不安になります。 今回訪ねたのはその空き地を見守るようにそびえ建つ建物、Yale Union(イェール・ユニオン)。この風格ある建物は、大規模な洗濯業務会社イェールランドリーによって1908年に建設され、その後合併や売却を経て1950年まで使用されていました。最盛期には125名もの女…
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