音楽家でありながら、ピアノ調律師としても活動する内田輝さんをご存知でしょうか。内田さんの演奏や音源を聴いたことのない方でも、例えばharuka nakamuraさんの楽曲や各地で開催される演奏会などで、あるいは映像音楽として、彼の奏でる美しい音の響きを耳にした方は意外と多いかもしれない。彼は今、名古屋の工房で楽器製作家の安達正浩氏のもと、14世紀に考案されたクラヴィコードという鍵盤楽器の製作を行っている。「今、京都の清水寺の舞台板を使って楽器を作っているので見にきませんか。」今年6月のはじめ、そんな内田さんから連絡をもらった。彼に初めてお会いしたのは6年前、篠山で開催された音楽会以来だったから突然の便りに驚いたといえばそうなのだけど、それより京都清水寺の舞台板で中世の西洋楽器を作っているという、その厳かな言葉の連なりに激しく好奇心を揺さぶられた。 このコロナ渦において長らく鳴りを潜めてい…
Read MoreHicham Benohoud
アーティストとしてのキャリアをスタートさせる契機となったモノクロームの写真シリーズ作“The Classroom”は、ヒシャム・ベノフードが美術教員として勤務していた後期 4 年間に渡って制作されました。教室という密室をまるで劇場のような非現実的な空間と捉え、教師と生徒という関係を舞台監督と俳優に置き換えました。授業の合間のわずかな時間を使って行われたというこの密かな舞台劇では、不安定で窮屈な独特の違和感を感じさせる状況が意図的かつ綿密に演出されているように思えます。インタビューを終えたあとの僕自身の見解ですが、制作にあたっていた当時の混沌としたモロッコ社会で作家本人が抱えていた閉塞感や、アンフェアな政治への怒りと将来への不安といったどちらかというと負の感情がこの作品の構図やディテールの端々に投影されているなぁと感じました。結果的にこの作品がパリのGalerie VUで発表され、作家として…
Read MoreOana Tudoran
You Dance Alone Bucharest, Romania Social Media: A floating island of neurosis induced triggers molten beneath the pillars of genuine creative beings; Oana Tudoran is one of these pillars, and with her hands dancing across my screen in soft aesthetic story, I knew she was more than just a dancer, but It wasn’t until I interviewed her that I discovered she was a writer, and a …
Read MoreGetzo Phongraktham
12月26日。バンコク中心地から北へ8km、バーン・プラットという小さな町で暮らすアーティスト、ゲッツォー・ポンラッタムのスタジオ兼自宅を訪ねた。淡いブルーの愛らしい2階建ての小さな家が2つ並ぶ敷地内にはヤシやソテツ、シダ、ゴムノキなどトロピカルな植物が大きく育ち、外界の喧噪から閉ざされた穏やかな空気が流れている。4人のアーティストがシェアする二棟の家に面する小さな庭にはペンキや絵筆などの画材と制作中の絵画や立体作品が、室内には彼らの作品がリズミカルに展示されている。静かな昼下がりにペンキをかき混ぜる音を聞いていると、アートと密接な関係にある彼らの暮らしぶりに溶け込んでいくようだ。 “Why don’t you eat this grilled-chicken?” “Mind your step – you see the shits of dogs.” “Keep walking at …
Read MoreTercio Ribeiro
リオ・デ・ジャネイロ中心地にある小高い丘サンタテレーザで カヴァキーニョ(ブラジルの弦楽器)工房を営むテルシオ・ヒベイロ。 6年前、国立病院に勤務する医師から転向し、ルチエ(楽器職人)として新たな人生を歩み始めた。 テルシオの作る美しいカヴァキーニョの音色は瞬く間にリオのミュージシャンから支持を集めた。 現在はリオ随一の人気ルチエとして活動する傍ら、 再び医師としてパラチーという貧しい町へ週に3回の訪問診療を行っている。 訪問診療のために通う町パラチーは、ふたりがハネムーンで滞在した思い出の場所。 医療の行き届かない貧しい地域に住む子供たちと話をするうちに、 彼らの声を集めたドキュメンタリーフィルムを制作することを計画するようになったというテルシオ。 新たな分野へ挑戦することに恐れはないのだろうか? 彼は、僕の問いにこう答えた。 「医師として、ルチエとして、世の中を少しでも良くするチャンス…
Read MoreCintia Cris
僕らはタクシーをチャーターし、歌声をたどるように ラウロ・ジ・フレイタス市アレイア・ブランカ地区という郊外までやってきた。 サルヴァドール市街地から幹線道路を東へ15キロほど走った所にある小さな村だ。 いかにも南米らしい鮮やかな鳥たちが歌うペットショップの前で待っていると 二人乗りのスクーターが突然現れて目の前に止まった。 「ムイート・プラゼール、アミーゴス!」 瑞々しい果実のようなキスで僕らを迎えてくれた美しい女性こそが 宿のテラスで聴いた歌声の持ち主、シンチア・クリスだった。 シンチアにとって初めての舞台となったのは、サルヴァドール・イタプアにある公立学校のステージだった。8歳の時のこと。「父が真剣な表情でお前には才能がある、と何度も何度も褒めてくれたのを覚えてる」。それ以来、シンチアの家にはキーボード、打楽器やバイオリンなど様々な楽器が増えていった。「特に嬉しかったのがマイクとギター…
Read MoreCatherine & Martin
There’s a cultural facility in Guanajuato’s old city center called “Casa Quattro” – its concept is to merge art, design, and food. I met Catherine there, an artist who uses silver as her medium, in a small studio surrounded by colorful colonial buildings. I became interested in the story behind how she settled here in Guanajuato after growing up in Belgium. Catherine studied fine art in Namur and …
Read MoreRachel Kaye
It had been a while since we saw blue sky early in the morning at Outer Sunset. In the attic studio Jay found by coincidence, against the backdrop of a giant canvas, I see the quiet silhouette of a beautiful artist. “When start painting a piece I take inspiration from clothing textiles and fabric colors from Italian brands like Missoni or Prada. As I continue painting, I often find myself changi…
Read MoreJay Nelson
Artist Jay Nelson lives in Outer Sunset, San Francisco. He creates artistic habitats RVs, treehouses that are lovable and practical, with creativity that seems to overflow out into the rest of the world. We received a message from Jay and packed our RV in Los Angeles, heading for foggy Ocean Beach.サンフランシスコ・アウターサンセットに住むアーティスト、ジェイ・ネルソン。彼がつくり続けるカスタムキャンパーやツリーハウスは愛らしいデザインと実用的な機能美、そしてワクワクするような創造性にあふれて…
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