ロサンゼルスでのキャンピングカー生活が始まり、生活排水の処理に戸惑いながらも4日が過ぎようとする頃、サンフランシスコ・サンセットディストリクトを拠点に活動するアーティスト・ジェイネルソンから取材オファー快諾のメッセージを受け取りました。嬉しさと興奮、そして緊張が順に訪れ、小心者の心臓の鼓動を早めます。僕らは数日分の着替えとカメラ機材、寝袋などを慎重に車へ積み込むと、4日目にして再びロサンゼルスを離れサンフランシスコへ7時間の道のりを後戻りする旅に出掛けました。早朝に出発し、地元サーファーが愛する遠浅の海岸オーシャンビーチを望むサンセットディストリクトに到着したのは約束の午後2時を少し過ぎたころ。なだらかな坂には、碁盤の目のように規則正しく淡いパステル調の住宅が生真面目に並んでいます。晴れていたサンフランシスコから一転、海から流れ込んでくる、しとしとと降る霧雨と灰色の空。まとわりつくような粒…
Read MoreStudio Visit : 3 Fish Studios
3 Fish Studioはサンフランシスコ・ミッションディストリクトからMuni(サンフランシスコ市営鉄道)に揺られ30分ほど、アウター・サンセットディストリクトに位置するエリック・リウィツァーとアニー・ガルヴィンの二人が営むショップ兼スタジオです。プリントメーカーのエリックと、ペインターのアニー夫婦が2007年にスタートさせた3 Fish Studiosはサンセットビーチへも歩ける距離にあり、静かで落ち着いたこの街を訪れる観光客や偶然通りかかる友人や知人を広く受け入れているようです。高い天井まで伸びる大きな窓から明るい光が差し込み、立ち寄った人たちは彼らの制作の現場を見る事ができる。興味があれば気軽に質問でき、手取り足取り制作方法を実践しながら教えてくれます。さらに一般に向けて版画やプリントのワークショップも定期的に開催しており、翌日その様子も見せてもらいました。制作がはかどればスタジ…
Read MoreStudio Visit : Wayne Smith
サンフランシスコを拠点に活動するヴィジュアル・サウンドアーティスト、ウエイン・スミスとの出会いのきっかけは、サウスパーク・ディストリクトにあるGallery 16で開催されていた個展 “5Short Holidays”。1〜2階吹き抜けの高い天井と30坪の広い空間、三面を埋める大きな窓が優雅な光を取り込みながら、ゆったりと間隔を開けて展示されていたウエインの繊細なコラージュ作品群。家庭用スキャナーを使用して作られたという、モダンな配色とデジタルが生み出す偶発性を制御・コントロールした、まるで彫刻のような大判プリント。さらに意味深げなテキストがタイトルとして打ち込まれ、床に整然と並べられたインスタレーション。その見るものをもて遊ぶかのような緩急のあるユーモアもさることながら、作品ひとつひとつの完成度と美しさに見惚れてしまい、当日ギャラリーの受け付けをしていたケイティにコンタクトを取ってもらう…
Read MoreStudio Visit : Tobias Tovera
8月9日・13日の2日間、先日111 Minna Galleryで個展を開催したばかりのTobias Toveraのスタジオを訪ねました。オークランドからBart(地下鉄)に乗り、ダウンタウンから自転車で25分ほどサンフランシスコ湾沿いを走ると見えてくる倉庫街に位置するPAI(The Performance Art Institute)、アーティストレジデンスがTobiasのスタジオです。地元球団SF.GIANTSのホームスタジアムが近く、この日は試合があるということでスタジアムへ向かうファンの熱気やホットドックの旨そうな匂いが誘います。次回個展の準備に追われ忙しい最中、あたたかい笑顔で迎えてくれました。溶剤と顔料の匂いがかすかに香る広いスタジオには手製カンバスの材料や作業中のアートワークが並べてあり、ショーを目前にした緊張感をぴりぴりと感じます。僕は、気にしないで作業を続けてくださいと伝…
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